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乗り物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

乗り物(のりもの、: vehicle)は、以下のものを指しうる。

英語の「vehicle ヴィークルあるいはビークル」の語源は、フランス語の「véhicule ヴェイキュール」が17世紀に英語に入ったものであり、さらにその語源はラテン語の「vehiculum ウェヒクルム」であり、これは「vehere ウェヘレ」(「運ぶ」)という動詞派生語である[4]ドイツ語の「ファールツォイク」(de:Fahrzeug/wikt:Fahrzeug)も総称である[5]

歴史[編集]

現在記録や遺物が残っている古い乗り物について解説する。

紀元前1万年ころにはすでに葦船や簡素ないかだが使われていたことが知られている。

葦船が描かれた岩絵

アゼルバイジャンにあるゴブスタン国立保護区には60万点を超える岩絵が残されており、そこには今から1万2000年前ころに描かれた、葦船と判る絵画が残されている。そうした岩絵のおかげで、ここで人類は葦船を水に浮かべて人力で移動したり、魚をとっていたことが判る。

Pesse canoe。長さ298cm、幅44cm

1955年にオランダである道路を建設するためにそこにあった遺跡を発掘したところ木製のカヌーen:Pesse canoe)が発見された。これは炭素年代測定法によって紀元前8040年 - 紀元前7510年の間のものだと推定されている[6]

遺跡の発掘により、古代メソポタミアのウバイド時代(紀元前6000年-紀元前4300年ころ)では、すでにを用いた船(帆船)が使われていたことが判明している[7]

人がいつころから馬に乗り始めたか、つまり乗馬を始めたかについては確かなことはわかっていない。イランの洞穴には乗馬を描いたらしい、紀元前数千年の洞穴画が残されている。確かな証拠では、ドニエプル川ドン川付近では紀元前3000年ころにはすでにハミ(bit)を使っていた証拠がある。

チャリオットは紀元前3000年のメソポタミアで使われていたことが判っている。ウル記念碑には車輪のついた戦闘車両の絵が描かれている[8]

分類・種類[編集]

乗り物という用語は総称なので、そもそもあまり厳密に分類する必要がないのだが、 あえて分類する場合は、ざっくりと使われる場所(空間)で分けて、船舶類 / 陸上の乗り物類 / 航空機類と大分類することが一般的である。

乗り物の種類の列挙[編集]

歴史が最も長い船舶類から挙げる。次いで陸上の乗り物、その次に歴史が浅い航空機類を挙げる。 種類が非常に多岐に渡るため、網羅的に挙げようとすることは行わない。

船舶類[編集]

船舶

水上

用途によって 商船類 / 艦船類 / 漁船類 / 特殊船舶類 / レジャーボート...などという分類することは一般的である。

大きさによる分類、小型船舶 / 大型船舶という分類がある。

他にも、海賊船砕氷船南極観測船....など、船舶類も多種多様で挙げるときりがない。屋形船、川下りの舟、急流下りの舟、ペダルサイクル艇、サーフジェット、水上スクーター、電動フローティングバイク、水中バイク、水中スクーターなどというものもある。

水中の乗り物

陸上の乗り物[編集]

人力
動物類の力を借りるもの[12]
エンジンや電動モーターの力で走るもの
自然エネルギーで走る乗り物
雪上
索道類
鉄道

など

航空機類[編集]

航空機の細かい分類は航空機の記事を参照のこと。

  • 軽航空機 / 重航空機 と分類するのが一般的。
  • ほかに 民間機 / 軍用機 などと分類する方法も一般的。

など、これ以上細分化することはここでは避ける。航空機の記事を参照のこと。

宇宙[編集]

遊園地の「乗り物」[編集]

当等。

動力源における分類[編集]

人力の乗り物
  • 足こぎ方式
  • 手こぎ方式
内燃機関の乗り物
ハイブリッド方式の乗り物
電動式の乗り物(※)の分類

※ 電動式の乗り物はのものがある。電動自動車は自動車の歴史の最初から存在し、「脱炭素」(温暖化防止)や大気汚染抑止のために2020年代現在、各国で政府主導の政策で猛烈な勢いで置き換わりがおこなわれている。電動航空機も19世紀からあり、バッテリーの軽量化・大容量化および「脱炭素」の推進もあり2000年ころから増えてきている。電動船舶のほうもリチウムイオン電池などの大容量電池のおかげでいよいよ現実的になってきている(英語版en:Electric boatの記事も参照可)。

非ガソリンエンジン(電動式類)の自動車の分類

乗り物の特性と選択[編集]

乗り物ごとに特性が異なり、用途によって適した乗り物が異なる。

地球環境への負荷の小ささ、温暖化対策
2000年代に入り、地球温暖化が深刻度を増してきており、先進国各国では政府を挙げて、市民も巻き込んで、二酸化炭素の排出量を抑えられる乗り物を選択することが推進されている。航空機が地球環境に悪い、ということはしばしば指摘されている。
公害
自動車では、ここ数十年で排ガス規制などによってエンジンから排出される排気ガスの有毒な成分がより少ないものになるように、規制を行ってきた歴史がある。自動車に乗るなら、新しくて厳しい排出規制に沿った自動車を選ぶのが良い、ということになる。現在はヨーロッパでも中国でも、EU主導や中国政府主導で電気自動車へのシフトが行われつつある。(なおEUも中国も政府が、電気自動車へとシフトさせることを政治的に決断し、その方向で各メーカーにノルマが設定され、各メーカーで開発や販売が活発化し、充電インフラも整備されつつある。)
電気鉄道排出ガスを出さないという点から評価されている。ただし電力をどのように作り出しているかにもよる。特にドイツのように再生可能エネルギーを主力にして電力を生みだしている国では良い結果を生む。
コスト…人や物を運ぶコストの低さ
船舶類か、陸上の乗り物か、航空機かといった移動方法のほか、様々な要因によって大きく異なる。
たとえば数km~数十kmと、自転車で簡単に行ける距離・経路ならば、自転車がもっとも安上がりなので、人々から広く選ばれている。逆にたとえば世界一周をするには、小型のセーリングクルーザーを中古などを(数百万円程度で)安価に手に入れ自力で操船し、世界一周後に船を(ほぼ同額で)売ってしまうのも安あがりである。燃料代がほぼゼロで済む。風が無料で推進力を与えてくれる。無寄港で世界一周するのであれば、港に係留する費用もかからない。陸上のエンジンつきの乗り物で世界一周しようとすると(燃料代が高くつきがちな自動車は避けて)オートバイで世界一周しようとしても、ガソリン代や途中の税金類などや(途中のフェリー代などで)数百万円ほどかかってしまう。なお水上の近距離の散歩を頻繁に行うには、小型のカヌー等が低コストである。
また俯瞰的に見たり、コスト構造を分析したりすると、乗り物を所有するか、定期便契約を結ぶか、シェアリングするか、それとも臨時の一乗客として利用するか 等々よって大きくことなる。所有する場合は、比較的大きな固定費(乗り物の購入費用、置いておく場所(駐車場停泊場駐機場など)の費用、定期的な整備費用、保険費)および変動費(移動する量や燃料価格の変動などに応じた燃料費など)がかかる。乗客として利用する場合は、距離、路線などによって定められた運賃を支払うだけで済む。自動車で、かつ移動の頻度が少ない場合は、タクシーカーシェアリングレンタカーなどが安く済み、連日のように自動車で移動することを数ヶ月程度以上続ける場合ば中古車を購入して自力で運転するほうが安く済むようになる。
船舶は、本土を移動する場合では、便(路線)が限られ、コスト比較できるものがない場合も多い。数百キロ以上の移動では鉄道と運賃が拮抗・競合することも多い。なおプレジャーボートなどでも中規模以上のものは一般論としては、かなりのコストがかかる、とされている。
鉄道(システム)は(産業用モノレールや遊具としての庭園鉄道等を除き、一般人が所有することはほぼ不可能なほどコストがかかり、一般に所有することは検討されず)、通常の速度の鉄道を一乗客として利用すると鉄道の運賃は、最も安価な部類に属する。
なお本当のコストの全体像を算出するならば、道路などの建設コストも積算しなければならない。そして道路建設のコストは莫大である。道路建設という莫大なコストを避けることを考えれば、水運を選択することは賢い選択であり、古代から中世までは内陸部でも水運つまり内陸水運が運送の主流であったわけであり、現代でも発展途上国では道路の舗装のコストをかけずに済む水運が選ばれ、しばしば河川などを利用して船舶で移動が行われ荷物が運ばれる。
安全性…いかに安全に、人や物を目的地まで運べるか
事故発生率の低さでは航空機が一番安全といわれている[22][23]。航空機以外では日本の新幹線が安全性を売りとしている[24](新幹線の車両事故に起因する死亡はゼロである)。
快適性…いかに快適に移動できるか
乗り物のどの座席に座るかにもよるため、単純に比較することは難しい。一般に、座席の狭い乗り物、空調の悪い乗り物、騒音振動の激しい乗り物などは快適ではないと指摘されることが多い。高速バスに比べて新幹線のほうが快適だと指摘されることは多い。
運べる量…いかに多くの人や物を目的地まで運べるか
荷物を大量に運ぶのに優れた乗り物としては大型船舶が挙げられ、巨大なコンテナ船タンカーが優れており、海運が世界の物流を支えている。
北米大陸アラスカカナダアメリカ合衆国など)では数百m~1km以上の長さに連結した貨物列車も用いられており、ロシアではシベリア鉄道で大量に貨物が運ばれ、ここ十数年では中国政府の戦略(一帯一路)によってユーラシア大陸でも中国からヨーロッパまで鉄道で結び盛んに荷物が運ばれるようになってきた(アジア横断鉄道)。また多数の客車を連結した鉄道車両は大量の旅客を乗せることができる。
移動時間の短さ…いかに短い時間で目的地まで移動できるか
移動時間の短さは乗り物へのアクセス時間も含めたものである。いくら乗り物自体の「瞬間速度」が速くても、その乗り物に乗るためにまず何時間も移動しなければならないようでは、移動のための時間の総計が長くなりすぎる。
大都市の街中で移動するならば、自転車オートバイが短い時間で移動することができる。
郊外の空いた道路で数十 km先まで移動するなら自動車オートバイである。
数百 km先まで移動する場合、ヘリコプターが一番速い。米国のホワイトハウス前にはヘリコプターのマリーンワンVH-3DシーキングあるいはVH-60N プレジデントホーク)が発着し米国大統領の日々の送り迎えを行い、数百km先程度への移動ならばこのヘリコプターが一番速く移動できる。FBIなどの捜査機関も移動に専用のヘリをしばしば使う。米国では民間企業でも報道機関や大企業などは自社ヘリ(ベル・ヘリコプター社製のものなど)やプライベートなヘリポートを所有していることがある。ヘリコプターはプライベートなヘリポートとプライベートなヘリポートを直線的に結び飛行することができ、移動時間が圧倒的に短くて済む。日本でも富裕層を対象にゴルフ場への実用的な送迎にヘリコプターの飛行を提供するサービスが一部で行われている(ただしヘリコプターは圧倒的に速いものの利用料金が高いので一般人の選択肢には入りづらい。一般人の場合は利用するとしても遊覧飛行にとどまる)。なお日本でも高層ビルの屋上にはしばしばヘリポートが設置されており、緊急時にはそれを利用して高速な移動を実現している。
数百km以上の移動の場合で、普通の人々が普段から利用できる料金設定になっているかということまで考慮すると、高速鉄道が一般的な選択肢となる。
旅客機は(一応、一般論として言えば)速度それ自体は最も高い部類である[25]が、空港とのアクセス、搭乗手続き、荷物の預け入れと引き取りなどに時間がかかりすぎることがしばしば指摘されており、300 km - 400 km程度では高速鉄道とほぼ同等になる場合も多く、それより短い距離では移動に必要な時間がかえって長くなってしまう乗り物である。
水面、海面をこえる移動に関しては、航空機と船舶の比較になる。船舶では、水中翼船TSLなどが選ばれることがあるほか、上述の通り旅客機による移動が選ばれる場合もある。
定時性や確実性…どれほどの確度(確率)で決まった時刻に運行されているか
地下鉄は天候や(地上の)交通渋滞の影響を受けないので確実性が比較的高い(こうした地下鉄の性質は、乗り物の中でもかなり例外的である)。地下鉄以外の鉄道は世界的に見ると遅刻が多く「数十分遅れ」や「数時間遅れ」は一般的であり、予測がつかない。日本の鉄道はかなりの確度で時刻表どおりに動いている路線が多いが、それも路線ごとで事情が異なり、(東京都内の、朝の)中央線などは「飛び込み自殺」が頻発し、数十分以上の大遅刻がしばしば発生する。中央線に限らず、鉄道全般で「飛び込み自殺」が発生すれば数十分から数時間ほど停止状態になる。また鉄道は、予測不能で突発的な踏切事故でも突然、数時間や半日あるいはそれ以上、鉄道路線は運行停止状態に陥る。特に大規模な踏切事故、たとえば大型トラックなどを巻き込み踏切周囲の構造物の崩壊なども起きると、突然運行停止になり、しかも数日ほどその路線が停止状態になってしまう。
ほとんどの乗り物というのは、さまざまな要素(天候、事故、渋滞など)の影響を受けるものであり、確実性は必ずしも高くない。乗り物ではそれが普通なのである。たとえば自動車は、「年度末」などの行政側の予算消化の都合優先の恣意的な大量の道路工事、また予測不能な自動車事故の発生でしばしば道路渋滞が発生し、予定時刻に到着できない事態が突発的に発生する。大雪が降れば道路交通がほぼ機能麻痺になる。高速道路は大雪などでも閉鎖される。連絡船も低気圧や台風接近などで海が荒れると欠航する。航空機は、予定していた空港周辺の天候が突然悪化すると飛行中に他の空港に変更して着陸してしまうことがあり、そうなると乗客はかなり困難な状況に追い込まれる。広域で悪天候だと当日の「欠航」が続出し、空港にたどり着いてしまってから途方に暮れる人が多数いる。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 広辞苑第六版
  2. ^ a b c 乗(り)物(のりもの)の意味”. 『大辞泉』(goo国語辞書 ページ内). 2020年11月6日閲覧。
  3. ^ a b 大辞泉「乗り物」
  4. ^ Oxford Dictionaries, 「vehicle」
  5. ^ 馬車類の場合、を除いた部分を指す[要出典]
  6. ^ “Oudste bootje ter wereld kon werkelijk varen” (オランダ語). Leeuwarder Courant. ANP. (2001年4月12日). http://www.archeoforum.nl/Pesse10.html 2011年12月4日閲覧。 
  7. ^ Carter, Robert (2012). “19”. In Potts, D.T.. A companion to the archaeology of the ancient Near East. Ch 19 Watercraft. Chichester, West Sussex: Wiley-Blackwell. pp. 347–354. ISBN 978-1-4051-8988-0. オリジナルの2015-04-28時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150428190743/http://www.academia.edu/1576775/Watercraft 2014年2月8日閲覧。 
  8. ^ Britannica, Chariot
  9. ^ カヤックシーカヤックダッキーカナディアンカヌーなどは下位分類
  10. ^ 軍艦巡視艇巡視船空母駆逐艦駆逐艇などは下位分類
  11. ^ ベロタクシーベチャ電動アシスト自転車は下位分類
  12. ^ ウマウシロバラクダリャマゾウ水牛など
  13. ^ 特定大型車大型自動車中型自動車普通自動車小型自動車特種用途自動車牽引自動車特殊自動車大型特殊自動車小型特殊自動車マイクロカーオート三輪トライク全地形対応車サイド・バイ・サイド・ビークルなどは、下位分類。
    レース用のフォーミュラカーラリーカーも下位分類。
  14. ^ 大型自動二輪車普通自動二輪車小型自動二輪車原動機付自転車サイドカー電動スクーターポケットバイクなどは下位分類
  15. ^ セグウェイ特定二輪車立ち乗りスクータースタンドバイクジーボードなどといったものがある。
  16. ^ フォークリフトストラドルキャリアターレットトラックなど
  17. ^ ショベルカークレーン車ロードローラー掘削機など
  18. ^ トラクター耕耘機コンバイン田植え機など
  19. ^ 通勤形電車近郊形電車特急形電車地下鉄電車、新幹線電車路面鉄道LRTなどは下位分類
  20. ^ 車掌車緩急車郵便車(取扱便・護送便)などは下位分類
  21. ^ 懸垂式モノレール跨座式モノレール産業用モノレール は下位分類。
  22. ^ 数字に見る航空機事故の確率”. All About. 2013年9月24日閲覧。
  23. ^ 日本の災害による死者数”. 西日本旅客鉄道労働組合. 2013年9月24日閲覧。
  24. ^ 車両のご案内|JR東海”. 東海旅客鉄道. 2013年9月24日閲覧。
  25. ^ 旅客機の中を探検しよう│空ののりもの│みんなののりもの”. 一般財団法人運輸振興協会. 2013年3月24日閲覧。

関連項目[編集]